自然の恩恵を受けて作られる有田焼
「陶器と磁器の違いとはなんですか?」と度々質問を受けるのですが、原料の違いから言えば、磁器は陶石という「石」、陶器は色の付いた土「有色粘土」から出来ています。有田焼は磁器なので、この陶石から出来ています。陶石は何万年という時間を経て作られた天然の原料です。そして有田では、現在、熊本県の天草で採れる「天草陶石」が広く使用されています。広大な岩山で採掘される、この天草陶石の採掘現場を今回はご紹介致します!

世界でここだけ!?
自然豊かなこの地、熊本県の天草地方で、白い焼き物である磁器に、最も適していると言われる陶石が採掘されています。気が遠くなる程の年月(なんと100万年以上!)をかけて形成された陶石はまさに自然からの奇跡の贈り物です。また、配合のバランスが良く、添加物を必要としない天草陶石は、世界でもあまり類を見ない、非常に珍しい陶石です。そんな貴重で奇跡的な原料を使わせて頂いている事に感謝の気持ちでいっぱいです。

鉱脈の違いで変わる白磁の色。
陶石は、鉄分の含有量によって分類されます。鉄分が多ければ、少しグレーがかった味のある仕上がりになります。対して、鉄分が少なければ、より白い仕上がりになります。目的用途に合わせ、石は分類されていきます。

手撰鉱。
陶石場から採掘された陶石は「手撰鉱」と呼ばれ、なんと人の手で選別されていきます。微妙な色の違いや、鉄分の含有量の違いでランク分けされ、一つ一つ選別されていきます。非常に手間と時間がかかる作業です。

一日10トン。石を撰ぶ。
因みに、このご婦人ですが、一日に10トンもの陶石をひたすら選別されているそうです。本当に気が遠くなるような作業です。このような皆さんの苦労の末に、私たちの器が作られているのだと改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。
陶磁器従事者として、改めて感じたのは、「中途半端なものは作ってはいけない。」ということです。 大自然の恩恵を受け、そして多くの方々の支えがあってこそ、私たちの焼き物は作ることが出来ているのだと改めて感じました。これからも責任を持って、長く愛されるモノづくりを行い、皆様に喜ばれる素敵な商品を提供していこうと強く感じました。